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(1)都立桜ヶ丘公園

東京の生物多様性ホットスポットとして、生物多様性を育む東京に点在する緑地や水辺を紹介していきます。

第1回は当センターの月例調査で毎月歩いている都立桜が丘公園をご紹介します。

都立桜が丘公園は、1984年に開園した多摩丘陵に位置する面積約33.9ha(2021年12月1日現在)の都市公園(種別:広域公園)です。多摩市の公園緑地である連光寺公園(約3.2ha)・大谷戸公園(約2.7ha)・聖ケ丘緑地(約4.7ha)、森林総合研究所の連光寺実験林(約4.0ha)と隣接し一大緑地帯を形成しています。地形的には、丘陵と谷戸から成り、標高差数十メートルと起伏が大きく、植生はコナラ・クヌギの雑木林が主体となっています。

明治時代には宮内省の御猟場であり、明治天皇がウサギなどを狩るために行幸したそうです。公園の中心には明治天皇を記念する旧多摩聖蹟記念館がありシンボルとなっています。公園は現在、年間約39万人(2020年)が訪れる都民の憩いの場となっています。

当センターでは、2020年10月から毎月、隣接する連光寺及び大谷戸公園を含めて鳥類のラインセンサスを行っており、2024年6月までに60種を記録しました。ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラの森林性の一般的な鳥類が優占種ですが、特定外来生物であるガビチョウが4番目の優占種として年中園内のあちこちで囀っています。最近ではやはり特定外来生物ソウシチョウが一年を通して見られるようになり、園内で繁殖していると考えられます。キビタキは園内で繁殖しており、特に渡りの季節には多く観察されカメラマンに人気です。園内には水場や実のなる樹木に来る野鳥目当てのカメラマンがいつも待ち構えて?おり、時にはブッポウソウ、アカショウビンやコマドリなどの珍しい鳥が撮影されています。

クマノミズキの実を食べるキビタキ
特定外来生物ソウシチョウ

当センターでは、野鳥だけでなく、調査ルート上で確認できたすべての生物を写真撮影してiNaturalist上に記録しています。野鳥以外にも植物や昆虫類、キノコ類など約千種を記録しています。2023年5月からは蝶類のラインセンサスを始め、2024年4月までの1年間でオオルリシジミ、イチモンジチョウをはじめ35種の蝶類を記録しました。

オオルリシジミ

公園内には大きな水域はないものの、丘陵地の斜面下の小規模な湧水湿地には東京では少なくなったアカハライモリが生息し、初夏にはゲンジボタルも出現して公園利用者を楽しませています。このように桜ヶ丘公園は多摩丘陵の豊かな生物相を育んでいます。

東京都レッドリスト絶滅危惧種(EN)アカハライモリ

多摩丘陵全体では開発が徐々に進んでおり、緑地の分断化が進んでいますが、桜ヶ丘公園は多摩丘陵の東部に残った貴重な生態系のネットワークの核となっています。将来的には(いつになるかはわかりませんが)、連光寺実験林跡地、桜ヶ丘カントリーなどが含まれる120haが公園用地として都市計画決定されており、さらに大きな生態系の核となることが期待されます。