カテゴリー: 2024年7月号

  • (1)都立桜ヶ丘公園

    東京の生物多様性ホットスポットとして、生物多様性を育む東京に点在する緑地や水辺を紹介していきます。

    第1回は当センターの月例調査で毎月歩いている都立桜が丘公園をご紹介します。

    都立桜が丘公園は、1984年に開園した多摩丘陵に位置する面積約33.9ha(2021年12月1日現在)の都市公園(種別:広域公園)です。多摩市の公園緑地である連光寺公園(約3.2ha)・大谷戸公園(約2.7ha)・聖ケ丘緑地(約4.7ha)、森林総合研究所の連光寺実験林(約4.0ha)と隣接し一大緑地帯を形成しています。地形的には、丘陵と谷戸から成り、標高差数十メートルと起伏が大きく、植生はコナラ・クヌギの雑木林が主体となっています。

    明治時代には宮内省の御猟場であり、明治天皇がウサギなどを狩るために行幸したそうです。公園の中心には明治天皇を記念する旧多摩聖蹟記念館がありシンボルとなっています。公園は現在、年間約39万人(2020年)が訪れる都民の憩いの場となっています。

    当センターでは、2020年10月から毎月、隣接する連光寺及び大谷戸公園を含めて鳥類のラインセンサスを行っており、2024年6月までに60種を記録しました。ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラの森林性の一般的な鳥類が優占種ですが、特定外来生物であるガビチョウが4番目の優占種として年中園内のあちこちで囀っています。最近ではやはり特定外来生物ソウシチョウが一年を通して見られるようになり、園内で繁殖していると考えられます。キビタキは園内で繁殖しており、特に渡りの季節には多く観察されカメラマンに人気です。園内には水場や実のなる樹木に来る野鳥目当てのカメラマンがいつも待ち構えて?おり、時にはブッポウソウ、アカショウビンやコマドリなどの珍しい鳥が撮影されています。

    クマノミズキの実を食べるキビタキ
    特定外来生物ソウシチョウ

    当センターでは、野鳥だけでなく、調査ルート上で確認できたすべての生物を写真撮影してiNaturalist上に記録しています。野鳥以外にも植物や昆虫類、キノコ類など約千種を記録しています。2023年5月からは蝶類のラインセンサスを始め、2024年4月までの1年間でオオルリシジミ、イチモンジチョウをはじめ35種の蝶類を記録しました。

    オオルリシジミ

    公園内には大きな水域はないものの、丘陵地の斜面下の小規模な湧水湿地には東京では少なくなったアカハライモリが生息し、初夏にはゲンジボタルも出現して公園利用者を楽しませています。このように桜ヶ丘公園は多摩丘陵の豊かな生物相を育んでいます。

    東京都レッドリスト絶滅危惧種(EN)アカハライモリ

    多摩丘陵全体では開発が徐々に進んでおり、緑地の分断化が進んでいますが、桜ヶ丘公園は多摩丘陵の東部に残った貴重な生態系のネットワークの核となっています。将来的には(いつになるかはわかりませんが)、連光寺実験林跡地、桜ヶ丘カントリーなどが含まれる120haが公園用地として都市計画決定されており、さらに大きな生態系の核となることが期待されます。

  • 川での「ガサガサ」が許可なく可能に

    東京都内水面漁業調整規則が令和6年4月1日付で改訂され、従来は都内の河川で禁止されていた、たも網などを利用したいわゆる「ガサガサ(水辺の水生生物を、タモ網ですくって捕まえること)」と呼ばれる漁法が規制対象外となり、水辺の楽校などの観察会でのガサガサを行う場合に特別採捕許可が必要なくなりました。

    https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/nourin/suisan/yuugyo/yuugyorec/oshiamikaisei

    今までは、たも網(規則上は押し網と記載)が禁止漁法であったため、多摩川などでちょっとした採取もやりにくかったのですが、これからは気軽に水生生物の採取観察ができそうです。

    許可なく可能になったとはいえ、観察会を実施する場合は、資源保護のため、採捕した魚を観察後に再放流が必要です(特定外来生物を除く)。もちろん、規則で規定しているアユ、ヤマメ、カジカ、ニジマス、コイ、ウナギ、シジミなどの漁業対象種については採捕の禁止期間、採取してはいけない全長等の制限などを厳守しなければなりません。

    たも網を使ったガサガサの様子
  • 桜ヶ丘公園植物観察会に講師派遣しました(4月28日)

    多摩市の聖ケ丘コミュニティセンター「ひじり館」環境部会からの依頼で桜ヶ丘公園の野草観察会に講師(渡辺・井守の2名)を派遣しました。

    地元の方20名が参加しました。事前の下見で花が観察できる可能性のある100種の草木リストを作成して、資料として配布しました。当日はそのうち65種類を観察することができ、参加者は想像以上の花の種類の豊富さに驚いていました。

    また、セイヨウタンポポとカントウタンポポとの違いを観察したり、コナラ・菌根菌と共生するキンランについて説明したりしました。ひじり館への帰り道には、普段さっさと通り過ぎてしまうバス通りの植え込みの間に咲くクゲヌマランの可憐な花を観察したり。皆さんが散策をする時に、花との楽しい出会いが一つでも増えてくれたら嬉しい限りです。

    キンラン
    園内で優占するカントウタンポポ
    セリバヒエンソウ
    カントウカンアオイ
  • 多摩市生きもの調査隊発足!

    2024年4月1日より多摩市とNPO東京生物多様性センターが協働で「多摩市生きもの調査隊」を立ち上げました。iNaturalistのプロジェクト機能を活用して、市民の皆様と一緒に、多摩市内の生きものの分布状況を調査します。

    4月27日に関戸公民館でキックオフイベントを開催しました。多摩市の環境部長による挨拶と趣旨説明の後、当センターのスタッフとボランティアがiNaturalistのアカウント開設や使い方について調査隊員に説明をしました。

    その後、いざ実習ということで多摩川の一ノ宮公園に移動。隊員は大人も子供さん達も熱心に写真を撮り、スマホを使って花や昆虫、野鳥の写真や音声をアップロードしました。実習の時間だけで19名の調査隊員が258件の観察を投稿し100種(調査時点)が記録されました。多摩川の生きものの多様さに驚きの声があがりました。

    当日の多摩川一ノ宮公園でiNaturalistに投稿された結果はこちら。

    これから調査隊員は市内のそれぞれのフィールドでiNaturalistを使って調査結果を投稿します。どんな生きものが投稿されるでしょうか。楽しみです。最新状況はリアルタイムで多摩市生きもの調査隊のサイトで見ることができます。この結果は解析の上、多摩市の環境施策へ反映するための基礎情報となる予定です。